【2021】ディープラーニングの実用例は?活用されている業界・製品・サービス

ディープラーニングの例

AI(人工知能)を最先端技術へと押し上げたのは、ディープラーニングの発見と活用が進んだことにあります。通常の機械学習よりも複雑な処理が行え、高い精度の判断を可能にするディープラーニングは、多くの活用機会に恵まれています。

今回は、ディープラーニングが活躍できる分野や、実際の活用事例などに注目しながら、この技術の真価を見極めていきましょう。

ディープラーニングが活用されている場所

ディープラーニングが活用されている場所

まずは、ディープラーニングの活躍が期待されている分野について紹介しましょう。

「AI活用」と聞くと、テック企業やサイエンス分野での活用機会に限定されていると思われがちです。しかし、実際にはあらゆる業種においてディープラーニングは応用でき、それぞれで革新的な効果を発揮しています。

自動運転

代表的なディープラーニングの活用現場と言えば、自動車産業における自動運転システムの導入です。自動車の運転は、免許証さえ取れれば誰でも自由に行うことができ、その合格率もそのほかの国家資格よりも高いことから、身近な資格として馴染み深いでしょう。

しかし、ロボットに自動車の運転をさせるとなると、非常に複雑な技術を必要とします。一見、何気なく車を運転している私たちですが、自動車の運転には多くの判断能力や認識能力が求められており、非常に繊細な技術が必要になります。

自動車の速度や方向のコントロールはもちろん、前方に障害物はないか、通行人はいないか、信号の色はどうか、目的地の方向はどうかなど、言語化してみると多くの行動を同時に行っていることがわかります。

車の運転は座っているだけなのに疲れるというのも、このことを踏まえればごく自然なことなのです。そのため、ロボットに車の運転を任せることは、至極困難なタスクです。

そこで活躍するのが、ディープラーニングです。膨大な過去の運転データや画像データから学習を行うことで、人間同様の判断力を養い、ミスなく運転ができるよう進歩しています。

ディープラーニングはこのような複雑な学習を効率良く進めるために重宝されており、すでに実験的な段階を終え、行動を走行する自動運転車も登場しています。学習データが増えるにつれ、今後さらに自動運転の活躍機会は増加していくでしょう。

生産

製造業の現場においても、ディープラーニングは多岐にわたって活躍します。ベルトコンベアの生産ラインなど、製造業においては古くからロボットやオートメーションの導入には積極的な現場でもあります。

しかし、近年の少子高齢化に伴い、新卒の働き手は減少し、熟練の作業員も引退を迎えていることで、深刻な労働者不足が進んでいます。

そこで、ディープラーニングの活用です。ロボットによる生産ラインの自動化はもちろん、ディープラーニングによって生産現場の管理も自動化することで、完全無人のスマートファクトリーを実現することができます。

工場の温度管理などはもちろんのこと、製造物の検品や、品質改善のためのロボットの調整、問題が発生した際のトラブルシューティングや人間のマネージャーへの連絡まで、あらゆる業務をAIに任せられます。

また、AIは人間と同等か、それ以上の精度で仕事をこなせるだけでなく、電源さえあれば24時間働き続けることもできます。人間のようにヒューマンエラーのリスクもなければ、休憩も必要ないため、生産効率は大幅な向上が期待できます。

ECサイト

あまりイメージが湧かないかもしれませんが、小売市場、特にECサイトにおいてもディープラーニングの活躍は顕著になっています。ECサイトにおけるディープラーニングの活用場所として顕著なのが、レコメンデーション機能です。

ユーザーにおすすめの商品を自動でピックアップし、案内してくれるというあの機能には、AIが導入されています。ユーザーのサイト内における閲覧履歴や、クリック動作から趣味嗜好を分析し、確度の高いレコメンドを実現しています。

あるいは、チャットボットを使った接客サービスです。基本的な回答をテンプレート化することで、よくある質問には自動で返答する事が可能です。場合によってはそのまま人間のカスタマーサポートに移行することもでき、業務の効率化に役立ちます。

ファイナンス

ファイナンス業界も、近年ディープラーニングの活用が活発になっている分野です。例えば、株価の相場を過去のデータから予測し、高い利回りを実現するAI投資といった現場です。

結局のところ、証券会社や投資会社が行っているのは、過去のデータを元にした未来の数字の変動予測や、さまざまな法則に当てはめた売買行動という機械的な業務に変換できるとも言えます。そのため、これらのノウハウをすべて数値化し、ディープラーニングに学習をさせることで、優れたAI投資家として確度の高い予測を立てられるというわけです。

もちろん、株価の予測や景気の動向というものは、過去のデータからすべてを予測できるものではありません。どれだけディープラーニングを駆使しても、確実に未来を当てられるわけではないため、その運用には相応のリスクが伴うことも注意が必要です。ただ、過去を客観的に分析するためのツールとしては無類の強さを発揮することも、人工知能の侮れないところです。

セキュリティ

ディープラーニングを用いたセキュリティ対策は、オフライン・オンラインを問わず活躍しています。

オフラインでのディープラーニング活用といえば、監視カメラへの応用が例として挙げられます。画像認識システムを搭載した監視カメラであれば、不審な人物や不審な動きをカメラが捉えた際、自動的に管理者や警察に通報し、犯罪を未然に防ぐことができます。

常に警備員がカメラを凝視している必要がないため、大きな人件費の削減になります。その精度も高く、肉眼では捉えられないような動きも正確に検知できます。

オンラインのセキュリティ対策としては、不正アクセスなどのサイバー犯罪を未然に防ぐことができます。常に社内のシステムをAIに監視させる事で、不審なアクセスやログを検知した場合、迅速にトラブルシューティングへと移行できます。

サイバー犯罪は形が残りにくい分、人間の力では防ぐのが難しいものですが、ディープラーニングを行ったAIであれば、こういった無形の犯罪にも容易に対処が可能です。

ディープラーニングを活用した製品・サービス

次に、実際にディープラーニングを活用しているサービスについてもご紹介します。

DeepL

DeepL

DeepLは、ディープラーニングを機械翻訳に導入することで、驚きの精度で文章を別の言語に翻訳できるようになるサービスです。

これまでの機械翻訳といえば、文章の翻訳であっても単語の羅列を生成するだけであり、とても自然な翻訳とは言えませんでした。しかし、機械翻訳にディープラーニングを導入した結果、AIが文章の文脈を読み取り、まるで人間が翻訳したかのような精度を実現したのです。

崩れた話し言葉も正確に読み取れるため、もはや翻訳家がいなくとも丁寧な訳語を理解できます。

Petalica Paint

Petalica Paint

Petalica Paintは、自分が描いた絵をAIに読み込ませることで、自動的にイラストの着色を行ってくれるサービスです。清書が終わっていないラフ画でも自動的に線画へと修正してくれるので、清書のオートメーションにも役立ちます。

着色するカラーリングの指定はユーザーが自由に選べることはもちろん、塗り方のスタイルも「暖かく」「かわいく」などいくつかのパターンから選べるため、自動着色とはいえ多様なバリエーションを楽しめます。

色々と絵のイメージの可能性を試したい場合にも活躍してくれる、頼れるアシスタントAIです。

DeepGram

DeepGram

DeepGramは、音声データをディープラーニング搭載のAIによって処理し、自動で書き起こしを行うためのサービスです。取材などの際には必ずと言って良いほど発生する書き起こしの作業を、AIに任せてしまうことで、大幅な作業の効率化を目指せます。

人の声から言語を正しく書き出すというのは困難な技術ですが、ディープラーニングの高い学習能力を活用することで、話し言葉とズレのない自動書き起こしを実現しています。

Otter.ai

Otter.ai

Otter.aiも、自動で話し言葉を文字に起こしてくれるサービスです。こちらは、リアルタイムでの利用にも対応しているということで、ミーティングの議事録作成など、さらに高い汎用性を獲得しています。会議のたびに議事録係を決め、話している人の言葉を追いかけるのに終始することもなくなるため、生産性の向上につながります。

Otter.aiは今のところ英語特化のサービスですが、さまざまな国のアクセントに対応していることが特徴的です。グローバルな現場では、英語話者もさまざまななまりを持って英語でコミュニケーションを取ります。癖の強いものは聞き取りにくいこともありますが、このサービスであれば聞き逃しの心配はありません。

Deep Nostalgia

Deep Nostalgia

Deep Nostalgiaは半分ジョークアプリのようなサービスですが、写真の人物の顔を動かして、本当に話しているかのように演出ができるサービスです。ディープラーニングによる精度の高い顔認識技術によって、人間が話す際の微妙な筋肉の動きを正確に写真で再現してくれます。

単に口元を動かすだけにとどまらない、高い制度を誇るサービスということで、多くの人を感動させています。先祖の写真や、歴史上の人物など、さまざまな人物に話をさせることで、教育やエンターテイメントなど、多くの分野で活躍が期待できる技術とも言えるでしょう。

ディープラーニングの実用例

試験的なサービスにとどまらず、ディープラーニングはすでに本格的なビジネスへの応用も始まっており、多くの業界で効果を挙げています。

ここでは実用的なディープラーニングの活用例をいくつかピックアップし、その可能性について理解を深めましょう。

実用例①:Allganize

Allganize(オルガナイズ)は、アメリカと日本、そして韓国が合同で運営するAIスタートアップです。ディープラーニング技術をベースにした高度な自然言語理解や、企業向けAIソリューションの開発に取り組んでおり、10億円規模の資金調達にも成功しています。

参考:PR Times「Allganize、第三者割当増資によるシリーズA2ラウンドにて10億円の資金調達を実施

グローバル規模でソリューションを提供していることもあり、すでに世界で100社以上の企業を対象に採用が進んでおり、今後さらなる規模の拡大と品質の向上が期待できる企業です。

グローバル展開しているAI企業としては珍しく、日本にもオフィスを有しているため、コンタクトを取りやすいのも魅力の一つです。

実用例②:Yahoo!ニュース(Yahoo!)

世界最大級のポータルサイトであるYahoo!が運営するYahoo!ニュースでは、不適切なコメントや誹謗中傷を自動で帰省するシステムを導入しています。不適切なコメントの投稿を検知した際、ユーザーに対して注意メッセージを表示し、コメントの再考を促すというものです。

このシステムには自社開発のディープラーニングを用いたAIモデルを使用しており、誹謗中傷をはじめとする不適切な投稿を1日平均約2万件削除するなどのパフォーマンスを発揮しています。従来では手作業で行なっていたこのような作業も、AIの登場で自動化を実現しました。

実用例③:R-Car V3H(ルネサス)

国内でも最大級の半導体メーカーであるルネサスは、車載用スマートカメラ向けチップ「R-Car V3H」を販売しています。一般的な量産車に向けた車載用フロントカメラにサラウンドビュー、自動パーキングなど、さまざまな用途に活用できます。

2021年に発表されたアップデートにより、最先端のスマートカメラアプリケーション向けのディープラーニング性能を向上させています。低消費電力性能は維持しながら、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の処理性能を4倍向上させるなど、その利便性も向上を続けています。

実用例④:AIBID(エイピア)

AIテクノロジー開発を進めるエイピアがこの度開発したのは、AIBID(アイビッド)と呼ばれるソリューションです。アプリマーケターが持つ複数の目標達成に向け、多様なデータとAppier独自のディープラーニング技術を組み合わせ、短期間で最適化してくれます。

マーケター個人のノウハウや勘に頼った行動分析ではなく、AI活用のデータ分析によって施策を進められるということで、根本的なパフォーマンスの向上が期待されます。

ユーザーの行動を複数の視点から同時にインプットして分析が可能なので、より多面的なプロファイリングが可能です。豊富なユーザーデータから、1万以上の機能の組み合わせのデータを取り込みます。

実用例⑤:血液がんの高精度鑑別システム(順天堂大学)

順天堂大学大学院医学研究科がこの度発表したのは、ディープラーニングを使って複数の血液検査結果を総合的に判断し、血液疾患鑑別が可能な「統合型AI分析システム」の構築です。血液がんを始め、血液疾患の診断には非常に多くの工程を踏まなければならず、診断スピードの向上には従来の方法では限界がありました。

そこで、AIを用いた分析システムを導入したことで、早期の診断と効率化に向けた診断支援の実現に成功士ということです。今後はさらなる汎用化に向けたアップデートを予定しています。

まとめ

ディープラーニングは多様な活用が可能で、すでに医療や製造、BtoBなどさまざまな業界に向けたサービスの展開が進んでいます。個人でも無料で利用でできるサービスから、企業向けの高度な診断システムまでスケールも幅広く、あらゆるニーズに対応するマーケットになりつつあります。

海外だけでなく、国内発の企業からも優れたディープラーニング活用の事例が誕生しており、今後の発展にも期待が持てるところです。